老舗のコーヒーメーカーブランド、『CHEMEX(ケメックス)』は、一風変わったデザインのコーヒーメーカーが特徴的でコアなファンが多いブランドです。今回は長年愛され続けているケメックスの魅力や、どんな種類の商品があるのかをご紹介します。
目次
ケメックスってどんなコーヒーメーカー?
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まずはケメックスが、どんなコーヒーメーカーなのかをご紹介します。特殊なデザインには、秘密があるんですよ。
1941年に科学者が発明
ケメックスが誕生したのは1941年で、きっかけはとある研究室でのできごとだったと言います。
科学者のピーター・シュラムボーム博士が、実験室にあったフラスコをコーヒーメーカーの代わりにしてコーヒーを淹れました。それが予想以上に良かったことから、ケメックスのデザインが生まれました。
フラスコと漏斗を融合したようなデザインは、本当に実験室にある器具からインスパイアされていたんですね。しかも発明したのはコーヒーとは無関係の科学者ということで、他のメーカーにはない独自性があるのです。
デザイン性が認められている
シンプルでありながらデザイン性の高さを感じさせるフォルムは、美術館の永久展示品に認定されるほどです。
現在は、ニューヨーク近代美術館(通称MoMA)のパーマネントコレクション、フィラデルフィア美術館の永久展示品、スミソニアン博物館の永久展示品とされています。イームズ夫妻などの有名なデザイナーが愛用していたことも有名で、今でも多くのファンが愛用しているのです。
80年もの間変わらぬデザインにこだわり、誕生した瞬間から完成されたデザインとも言われ、機能面だけでなくインテリアとしても素晴らしい作品となっています。
CHEMEX(ケメックス)の3つの魅力
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ケメックスにはコアなファンが多いですが、その魅力はどこにあるのでしょうか?3つのメリットに迫ります。
ドリッパーとサーバーが一体化してコンパクト
基本的にドリッパーとサーバーが別になっているものも多く、そのためドリッパースタンドを使用する場面もあります。しかしケメックスはドリッパーとサーバーが一体型のデザインなので、これひとつで完結して大変コンパクトにまとまります。
しまうときもセットになるため、どちらかが行方不明になることもなく面倒くさがりな方にもぴったりです。
コーヒーを注ぐのが簡単
科学者が開発したというだけあり、大変効率的な構造になっているのが特徴です。
ドリッパーとサーバーが一体化しているので、それだけで用意も片付けも簡単ですが、注ぎ口がついているので、ドリップ後はダイレクトにカップに注ぐことも可能です。
サイズも豊富なので、大人数のときにより取り分けしやすいようになっています。
見た目がおしゃれ
なんと言ってもデザインに優れているので、コーヒーを淹れないときでもインテリアとして活躍してくれます。
クラシックタイプに使用されている木枠は、ガラスとの相性がばっちりで、さりげなく高級感を演出しています。そして単体の素晴らしさだけでなく、どんなカップとも調和するシンプルさが魅力です。
決して悪目立ちしないナチュラルなたたずまいは、お気に入りのカップの存在感を邪魔せず、どんなシーンでも使用しやすいでしょう。
CHEMEX(ケメックス)の残念なところ
メリットが豊富なケメックスですが、使用の仕方や目的によってはデメリットとなる部分もあります。
使える幅が狭い
ケメックスは80年前から変わらないデザインを貫いていて、純粋にドリップするときにしか使用できなくなっています。
具体的には、電子レンジ、直火、食洗器などが使用できず、コーヒーを温め直すには移し替える手間があったり、掃除も自分の手で行わなければいけません。
最近ではいろいろな機能がついたコーヒーメーカーも多いので、このアナログ感を使いにくいと感じる方も多いようです。
洗いにくい
シンプルなデザインで、素材もガラスと木枠という単純さのため、特殊な洗浄は必要ないのですが、専用のブラシで洗わないと、きれいに洗うことができないのが難点です。
ドリッパーとサーバーが一体型になっているため深さがあり、手が中まで届きにくいので通常のスポンジでは洗い残しが出やすくなります。ケメックスのコーヒーメーカーを使用するなら、専用ブラシも同時に購入するのがおすすめです。
くびれた部分が洗いにくいケメックスですが、専用ブラシなら細かなところまで行き届き、衛生面を向上させてくれます。ブランドロゴ入りなので統一感があり、おしゃれ感がアップします。
専用コーヒーフィルターが高額
ケメックスのコーヒーメーカーは、専用の純正ペーパーフィルターが用意されています。通常のペーパーフィルターより20〜30%程厚く作られているのが特徴で、サイズに合わせて選べます。
しかしこれが高額で、100枚入りで1,000円前後しますので、安いものと比べると10倍近く高くなってしまいます。ペーパーフィルターは消耗品なので、値段がネックになるかもしれませんが、その分美味しいコーヒーが淹れやすいという特徴もあります。
専用ペーパーフィルター以外で淹れる方法
ケメックスには専用の紙フィルターがありますが、それ以外でもコーヒーを淹れることは可能です。コストを削減する目的や、いつもと違う味を楽しみたいときに試してみてください。
- 金属フィルターを使用する
ケメックスのコーヒーマシンに合うサイズの、金属フィルターの購入を検討してみましょう。コーヒーオイルがダイレクトに抽出でき、ペーパーフィルターよりガツンとコーヒーの味を感じることができる味わいに仕上がります。
ケメックスに合う金属フィルターは高額なものが多く初期投資は高くなりますが、しっかりお手入れをすれば壊れるまで使用できるので、長い目で見るとコスパに優れます。
ケメックスコーヒーメーカー6、8、10カップ仕様・ハリオV60ドリッパーにフィット
- ハリオのガラスドリッパーを使う
ハリオのV60耐熱ガラスドリッパーの、ガラスを支えるカサの部分を取り外すとケメックスの上部にはめ込むことができます。
使用するときは通常通りペーパーフィルターを入れるのですが、ケメックスより様々な種類が仕えるので、安いペーパーフィルターも使用できるようになりますよ。見た目もガラス同士なので、デザイン性を損なわずおすすめです。
- 他のペーパーフィルターを折って使用する
純正のペーパーフィルターでなくても、サイズに合わせて折ることで使用できる場合があります。
大容量の6cupサイズはなかなか合うものがないので難しいですが、3cupを使用しているなら形に合うように折れば通常通り使用することが可能ですよ。
ケメックスの種類が知りたい!
ケメックスは大きく分けると“クラシックシリーズ”、“ハンドブロウシリーズ”、“ガラスハンドルシリーズ”の3種類に分けられます。それぞれの特徴を見てみましょう。
種類は3シリーズから選べる
クラシックシリーズ
“クラシックシリーズ”は、シュラムボーム博士が発明したときから変わらぬ形状を維持し、ケメックスの定番と言えるデザインです。
ガラス素材でサーバーとドリッパーを一体化させ、さらに木枠と革紐がついています。これがおしゃれさをアップさせ、インテリアとして部屋に飾りたくなるのです。
さらに、クラシックシリーズはマシンメイドなので形にブレがなく、ケメックス初心者におすすめしたいシリーズです。
ハンドブロウシリーズ
“ハンドブロウシリーズ”は、一件クラシックシリーズと同じに見えるのですが、ガラス職人が一つひとつ手吹きガラス製法で仕上げています。
そのため丸みの出方や色合いの違い、小さな歪みまでもが手作りならではの味わいになり、コレクター心をくすぐります。値段も少し高くなりますが、ケメックスの扱いに慣れてきたら欲しくなるデザインです。
ガラスハンドルシリーズ
ガラスのみで作られているのが“ガラスハンドルシリーズ”で、シンプルでモダンなデザインとなっています。他のシリーズと大きく異なるのが、ガラス製のハンドルがついていることで、首の部分を掴むよりもコーヒーを注ぎやすいと感じる方も多いようです。
さらにすべて透明となるので、お湯を注いでから抽出されるまでを観察できるのも、マニアにとってはたまりません。
サイズも選べる
ケメックスのコーヒーメーカーはサイズ展開が豊富で、シリーズごとに選ぶことができます。
シリーズごとにサイズが異なる
サイズは3カップから13カップまで用意されていて、この数字は1度に淹れられる人数を表しています。ただし使うカップによって多少の誤差はあるので、あくまで目安にしてください。シリーズごとのサイズ展開は次のようになっています。
- クラシックシリーズ 3・6・8・10カップ
- ハンドブロウシリーズ 3・5・8・13カップ
- ガラスハンドルシリーズ 3・6・8・10カップ
おすすめは3カップか6カップ
どのシリーズにも共通してあるサイズは3・6・8カップですが、6カップ以上はかなりの大きさになり、扱いが難しくなってきます。そのため家庭で使うためのものなら3カップか6カップがおすすめです。
自分の分を淹れるるのが中心という方は3カップ、家族の分もまとめて淹れるという方は6カップで十分な大きさでしょう。
アクセサリー用品もチェックしよう
ケメックスにはコーヒーメーカー以外も、コーヒー周りをより豊かにしてくれる純正のアクセサリーがあります。せっかくなら揃えて使い、気分を上げてみてはいかがでしょうか?
コーヒーメーカー専用フタ
コーヒーがサーバーに余ってしまったとき使用する、コーヒーメーカー専用のフタです。3カップ、6カップ共通で使用することができ、淹れたてのコーヒーの保温や、酸化を防ぐことができます。
また、このフタがあれば蒸らしの作業が可能になるため、コーヒーメーカーで紅茶を淹れることができるようになりますよ。
グラスマグ
ガラスハンドルシリーズをコンパクトにした、同じ形をしたマグカップです。一緒に使用すればかわいらしく、デザインの統一ができおしゃれさも増しますよ。しかもハンドメイドなので、手作りのぬくもりを感じます。
クリーマー&シュガーセット
ケメックスのコーヒーメーカーの形を模した、クリーマー&シュガーセットです。上下が分かれるようになっていて、下にミルク上に砂糖が入れられコーヒーセットがコンパクトにまとまります。
耐熱ガラスなので温かいミルクもOKですし、ジャムやチョコレートなどを入れることもできるので、使える幅が広いのが嬉しいポイントです。
部品が壊れたら交換可能なアクセサリー
クラシックシリーズとハンドブロウシリーズで使用されている、革ひもと木枠が壊れてしまったときは、交換可能となっています。単品で販売されているので、一式を買い替える必要がなく大変経済的ですよね。
ケメックスの使い方
最後にケメックスの使い方を確認しましょう。一般的なドリップコーヒーの淹れ方と大きな違いはなく、通常の流れで行います。ただ、ケメックスのコーヒーメーカーで淹れるとまるで実験をしているような気分になれて、ワクワクしますよ。
手順
- コーヒー豆とお湯の準備
90℃前後のお湯を作り、コーヒー豆を好みの粗さに挽いておきましょう。一人分の場合、約300mlのお湯を用意し、豆は18gを使用すると、200〜250mlのコーヒーを淹れることができます。
- フィルターをセット
ドリッパー部分にフィルターをセットしましょう。ペーパーフィルターを使用する場合は、一度何も入っていない状態で湯通しすると、紙臭さを取ることができ、ガラスを予熱することもできます。
- 挽いたコーヒーの粉をセットしお湯を注ぐ
フィルターにコーヒーの粉を入れたら平らにならし、お湯を3回に分けて注ぎまましょう。1回目は少量のお湯を中心に注ぎ粉を蒸らし、30~45秒ほど蒸らしましょう。
蒸らしが終わったら2回目のお湯を“の”の字を描くように一定のペースで注ぎ、しばらくドリップされるのを待ってから残りのお湯も同じように注いでください。
- 完成
全てドリップされたら出来上がりなので、コーヒーフィルターを取り除き後はサーバーとしてカップに注いでいきましょう。飲みきれない分があれば、フタをして保温しておけばお替りも美味しくいただけますよ。
ケメックスで上質なコーヒータイムを過ごそう
他のメーカーとは異なる独特なデザインでコアファンを獲得するケメックスは、科学者の気まぐれによって誕生したメーカーだったんですね。その誕生秘話もおしゃれですが、ガラスと木枠、革ひもというシンプルな素材で、無駄のないフォルムが追及されたデザインもインテリアとしても最適なおしゃれさです。
初心者でも扱いやすく、プロも愛用していて、幅広い方から支持されるコーヒーメーカーなので、上質なコーヒータイムにぜひ使用してみてください。