エスプレッソはコーヒーの飲み方の中でも人気ですが、どんなコーヒーでどのように飲むのが正しいのか知っていますか?かっこよくエスプレッソコーヒーを飲みたいなら、大人の嗜みとしてチェックしておきましょう!
目次
エスプレッソコーヒーのおさらい!
エスプレッソとは抽出方法のひとつで、沸騰したお湯を加圧状態でコーヒー豆に注ぎ抽出したものを、エスプレッソコーヒーと呼びます。
出来上がりは通常の半分ほどの量になるため、フランス語で半分のカップを意味する、『デミタス』と呼ばれることもあります。さらに詳しくエスプレッソコーヒーについて見てみましょう。
コーヒー豆不足から誕生した飲み方
1806年、ナポレオンが発令した“大陸封鎖令”によって、さまざまな製品が輸出規制の対象となり、フランスからコーヒー豆を輸入できなくなりました。
これをきっかけにイタリアではコーヒー豆不足に悩まされ、苦肉の策として考案されたのがコーヒーカップの大きさを3分の2程度のサイズにして、提供するコーヒーの量を減らすというものでした。これが意外にも受け入れられ、デミタススタイルの起源となっています。
そして少量のコーヒーを楽しむための飲み方が追及され、1900年代に入った頃、イタリアのベゼラ社がエスプレッソマシンを発売し、その存在が確立されました。
それにより、イタリアでは“コーヒー”と言えばエスプレッソのことを指すようになり、エスプレッソと言えばイタリアというイメージがついたのです。
ちなみに『エスプレッソ』とは、“急行”という意味で、すぐに淹れることができるコーヒーという由来と、“特別な”という意味から、その人のために淹れる特別な1杯という由来もあるそうです。
エスプレッソの特徴
うまみがギュッと凝縮されている
専用の器具を使用して圧力をかけながら抽出するのがエスプレッソですが、これはよりコーヒー豆の成分が凝縮されうまみが高くなっています。その分総量は30ml程度と通常のコーヒーよりも少ないですが、コーヒーの味や香りをガツンと楽しむことができます。
3層から成り立つ美しいコーヒー
エスプレッソコーヒーはカップの中で“クレマ”・“ボディ”・“ハート”という3層がきれいにできていると完璧といわれていてます。
すぐに混ざり合ってしまうため淹れたての瞬間にしか楽しむことはできず、贅沢な飲み方なのです。この3層を楽しむために、それぞれの層の特徴を見てみましょう。
- クレマ
クレマは、コーヒーの最上部にできる泡のことで、細かく滑らかな金色の泡が上質とされています。
これはコーヒー豆に含まれていた炭酸ガスの放出によって生まれるもので、新鮮であるほど良いものができ、鮮度が落ちた豆からはあまりできません。また、粗挽きや浅煎りの豆でもできにくいことがあります。
- ボディ
クレマの下にある中間層で、抽出後数秒だけ現れます。色はブラウンで、エスプレッソならではの深みやコクが凝縮されている部分です。
- ハート
コーヒーカップの最下層に溜まる色の濃い部分をハート、またはアロマと呼びます。特に香が強い部分で、芳醇で長く口の中に残る香りが凝縮されています。
ドリップコーヒーとの違い
エスプレッソコーヒーは、ドリップコーヒーとは使用する豆、抽出方法、味わいがそれぞれ異なります。
使用する豆
エスプレッソコーヒーもドリップコーヒーも、豆の種類に制限はなくどれを使用しても良いのですが、焙煎度合いと挽き方が異なります。
ドリップコーヒーは好みに合わせて選んでもさほど問題はありませんが、エスプレッソコーヒーの場合は中煎り~深煎りがよく使用され、挽き方は細挽き~極細挽きでないと美味しいものが淹れられません。
抽出方法
ドリップコーヒーは、コーヒーフィルターにコーヒー粉を入れ、お湯を注いで抽出する方法です。家庭でも簡単にでき、コーヒーメーカーなどもドリップ式を採用しているものが多いので、コーヒー初心者がまず試してみる淹れ方でしょう。
エスプレッソコーヒーは、コーヒー粉に圧力をかけてお湯を注ぐことで、短時間で淹れることができるコーヒーです。 家庭で淹れたいと思う場合、専用のマシンを購入する必要があるので、コーヒー上級者でないとなかなか手が出ないかもしれません。
さらに1杯分の量が大きく異なり、ドリップコーヒーは1杯120~140㏄程度なのに対し、エスプレッソコーヒーは25~30㏄です。しかし使用する豆の量はそれほど変わらないので、エスプレッソコーヒーの濃さがわかりますよね。
味わい
いわゆる一般的なコーヒーの味が出せるのがドリップコーヒーで、こだわるときりはないですが、淹れ方が簡単なため安定した味が出しやすいのが特徴です。
そしてコーヒーの成分がギュッと凝縮されているのがエスプレッソなので、ドリップコーヒーよりも濃厚で、よりコーヒーの風味を感じることができます。
苦みや酸味が苦手な人もいますが、短時間で抽出することによって雑味やえぐみが出ないので、飲みやすいと感じることができるでしょう。
また、エスプレッソにはミルクや砂糖を使用した飲み方にバリエーションがあるので、より多くの方が飲めるようにもなっています。さらに、抽出後のカフェイン量がエスプレッソの方が低めになるため、「夜眠られなくなってしまうと困る」というようなカフェインに敏感な方でも飲みやすいですよ。
大人なら知っておきたい!エスプレッソの飲み方作法
もちろんコーヒーは嗜好品ですので、自分流を見つけて好きなように飲んで構いませんが、まずは基本を押さえることも重要です。
エスプレッソコーヒーは飲み方にちょっとだけコツがいるので、知っているのといないのでは楽しみ方がだいぶ変わってくるでしょう。大人の嗜みとして、エスプレッソの正しい飲み方をご紹介します。
本場イタリア流の飲み方
国によっても飲み方の作法は異なりますが、今回は本場イタリア流の飲み方をご紹介します。
手順
- シュガースプーン山盛り1杯分の砂糖を、優しくカップに入れる
- 最上部のクレマを崩さないよう、ゆっくりとかき混ぜる
- 2、3口程度で飲み干す
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気をつけたいポイント
- エスプレッソは砂糖を入れるのがメジャー
エスプレッソは、何も入れずにストレートで飲むという考え方は日本人くらいで、イタリアでは砂糖を入れて完成するコーヒーとされています。クレマを崩さないようにさらさらと入れるのがポイントで、たっぷり入れるのも美味しく飲むポイントです。
苦みを緩和してエスプレッソのコクをより引き出してくれます。また、飲み終わった後のカップに残った砂糖を、デザート感覚で食べるのも粋です。
- 混ぜすぎない
砂糖を入れるとしっかりと溶かそうとよくかき混ぜてしまいますが、エスプレッソは層を楽しんで飲むものです。かき混ぜるとせっかくの層を壊してしまうので、軽くサッと混ぜましょう。
- できあがりがりをすぐに飲む
エスプレッソは量が少ないため冷めやすく、層もすぐに消えてしまいます。そのためできあがりをすぐに飲むと、よりおいしさを実感できるでしょう。
ちびちび飲むのはエスプレッソの魅力を半減させますし、かっこ悪く見えてしまいます。
エスプレッソには飲み方の種類がある
最後に、エスプレッソの飲み方のパターンをご紹介します。レパートリーが豊富で、それぞれに名前もついているほどです。もしかすると、普段からエスプレッソだと気づかずに飲んでいたかもしれませんよ。
お湯を足して『アメリカーノ』
砂糖を入れない飲み方で、お湯だけを足してエスプレッソのうまみを感じながら苦みが抑えられる飲み方です。濃いコーヒーの味が得意でない方や、ブラックが好きな方におすすめで、ドリップコーヒーを薄めたアメリカンと似ています。
簡単なデザート感覚の『エスプレッソコンパナ』
エスプレッソにホイップクリームを乗せただけの飲み方ですが、簡単にデザート感覚を味わえ、イタリアでは人気のスタイルです。
いつものエスプレッソに少しだけアクセントが欲しい方や、エスプレッソの苦みや国分笠をしっかりと味わいながらアレンジしたい方におすすめです。
フォームドミルクを入れれば『マキアート』
スターバックスなどで、『~マキアート』というメニューをよく見ると思いますが、これはエスプレッソに泡立てたフォームドミルクを少量入れたものを指します。
ミルクがエスプレッソの苦みをマイルドにし、苦みが苦手な方におすすめです。デザート感覚も強いので、午後のブレイクタイムにぴったりですね。
『カフェラテ』と『カプチーノ』はミルクの分量の違い
カフェラテとカプチーノの違いを分からずに飲んでいる方も多いかもしれませんが、材料はエスプレッソと、スチームドミルクと、フォームドミルクと全く一緒です。
違うのはスチームドミルクとフォームドミルクの分量で、フォームドミルクの量が多いカプチーノは口当たりがふんわりしています。カフェラテも十分飲みやすいですが、さらに飲みやすさが増すのがカプチーノです。
チョコレートシロップが入った『カフェモカ』
カフェラテやカプチーノのように、エスプレッソにスチームドミルクとフォームドミルクを入れ、さらにほろ苦いチョコレートシロップをかけたのがカフェモカです。
パフェのような見た目になり、甘いコーヒーとして好きな方も多いですよね。エスプレッソのコクとチョコレートの相性は抜群で、そこにホイップされたミルクがマイルドさを加えます。
エスプレッソを正しく飲めるとかっこいい!
小さなカップで飲むエスプレッソは印象的で、観たことがある方は多いと思いますが、実際に正しく飲めている方は少数かもしれません。発祥であるイタリアでは、砂糖を入れて優しくかき混ぜたら、3口ぐらいですぐに飲んでしまうのが正しい作法とされています。
こうすることで、エスプレッソの持っているうまみを最大限に感じながら、美味しさを味わうことができるはずですので、まずは正しい飲み方を実践してみましょう。
さらに、エスプレッソにはミルクなどを使用したアレンジ方法がたくさんあり、飽きることなく楽しめるはずですので、自分だけの飲み方をみつけてみても良いですね。