コーヒー抽出後のコーヒー粉は、“かす”として捨ててしまう方が多いですが、実は消臭効果が抜群なアイテムなんです。ちょっと手を加えるだけで、消臭剤として嫌なニオイをとってくれますので、工夫して再利用をしてみましょう。どうして消臭効果があるのか、また使用の仕方など詳しくご紹介します。
目次
どうしてコーヒーに消臭効果があるの?
コーヒーの粉はその特殊な性質から、消臭効果が期待できます。抽出前の粉の状態でも消臭効果はあるのですが、実は抽出後のコーヒーかすの方がさらに消臭率をアップさせることができます。その理由について詳しく見てみましょう。
コーヒーかすの3つの特徴が消臭効果をもたらす
水分が含まれている
コーヒーかすには抽出時に注がれたお湯が残り、水分が含まれている状態となります。コーヒーの粉は湿っているとよりアンモニアを溶解する働きがあるので、鼻につく嫌なニオイを除去できるのです。
多孔質な構造
コーヒーの粉には、目には見えませんが無数の穴が開いています。この構造を多孔質と言い、この穴にアンモニアを捕捉することで、ニオイをキャッチして逃さないため、消臭効果を発揮します。
酸性である
ニオイを除去する方法のひとつに中和させる方法があります。ニオイは酸性とアルカリ性のどちらかに分けられるので、嫌なニオイの元がアルカリ性だった場合、酸性であるコーヒーかすはニオイの中和が可能です。
アンモニアはアルカリ性のニオイの代表なので、コーヒーかすは特に効果的というわけです。
消臭効果は活性炭の5倍になることも
消臭力が高いと有名なものに活性炭があり、さまざまな消臭・脱臭商品に使用されています。しかし、大手コーヒーメーカーのUCCが調べた実験結果によると、水分を含んだコーヒーかすは、活性炭の5倍の消臭効果が期待できることが判明しました。
・参照元:UCC
日ごろからドリップコーヒーをご家庭で楽しんでいる方は、わざわざ消臭アイテムを購入しなくても、コーヒーかすを再利用して使うことができますね。
コーヒーかすを消臭剤にする方法
それでは実際に、コーヒーかすを消臭剤として上手に活用する方法を見てみましょう。今回は長く消臭効果が持続する乾燥タイプと、素早く消臭できる水分を残した使用方法をご紹介します。
乾燥させて使う方法
用意するもの
- 抽出後のコーヒーかす
- 通気性の良い小袋(お茶パックなど)
作り方
- 抽出後のコーヒーかすを取り出し、日に当てるなどしてしっかりと乾燥させる
- 水気がなくなったらお茶パックなどの通気性の良い袋に入れれば完成
使い方
コーヒーかすを入れた小袋は、ニオイの気になるところに置いたり、紐をつけて吊るしたりと場所を気にせずどこにでも使用できます。
しっかりと乾燥しているので、カビが生える心配もなく、ゆっくりと長期間消臭したいときに向いています。
水分を残して使う方法
用意するもの
作り方
- 抽出後のコーヒーかすの粗熱が取れたら、手ですぼってある程度水気を切る
- そのままトレイなどに乗せれば完成
使い方
ほぼコーヒーかすをそのまま使用するだけなので、簡単に消臭剤にすることができます。置く場所に合わせてトレイの大きさやデザインを決め、特にニオイが強い場所や早急に消臭したい場所に使用するのがおすすめです。
水分を含んでいるので、条件によってはカビが生える危険があり、長期間使用するのには向いていません。
消臭効果はいつまで?
コーヒーかすはずっと消臭できるものではなく、ニオイを吸収できる容量が決まっています。そのため一定の期間が経ったら捨てて、新しいものを用意するようにしましょう。
水分を含んだタイプはカビが発生する心配があるので3日程度で破棄するようにしてください。
乾燥タイプはゆっくりと消臭するので、ニオイの程度や湿度などの環境に合わせて、1~3週間を目安に交換しましょう。
コーヒーかすはこんなニオイに最適!
コーヒーかすの消臭剤は作り方も使用方法も簡単なので、家庭のいろいろなニオイ除去に使用することができます。次のような場所に置いて、嫌なニオイを取り除いてみましょう。
トイレのアンモニア臭
トイレ後水を流しても、便器の裏側やフチなどに排泄物が残っていてしっかり流されていなかったり、男性の場合は飛び散る確率が高いので壁紙や床などが汚れてしまっている可能性があります。
するとトイレの中がアンモニアで臭くなるので、コーヒーかすを置いておくのがおすすめです。
特にアンモニアはアルカリ性のニオイなので、コーヒーかすの消臭力と相性が良く効果を実感しやすいでしょう。
下駄箱や靴の蒸れたニオイ
下駄箱の中や周辺は、自分では気がつきにくいニオイが充満しています。足は意外に汗をかくので、靴の中はその汗を主食とする雑菌が繁殖しやすい環境です。また、風通しの悪い下駄箱の環境もカビなどの温床になりやすく、ニオイがこもって悪臭になりやすいのです。
そのため、継続的に使用できる乾燥させたコーヒーかすを吊るして置いたり、たくさん作って靴の中にダイレクトに入れておくのが効果的です。
ゴミ箱の生ごみ臭
ゴミ箱も家の中でニオイが気になる代表的な場所で、特に生ごみを捨てているときに強い悪臭を発します。これは水気を含んだ生ごみに雑菌が繁殖し、腐敗臭生んでしまうからです。
気温が高い夏場などは特にニオイがきつくなるので、使用済みのコーヒーかすをそのままゴミ袋に入れておくだけでも効果があります。
さらにコーヒーかすを乾燥させたタイプをゴミ箱の底やふたの裏に貼りつけておくことで、さらに消臭効果を高めますよ。
冷蔵庫の食べ物のニオイ
食べ物を入れているだけの冷蔵庫なのに、いつの間にかニオイが染みついてしまっている経験はありませんか?
きれいに使用しているつもりでも、食べ物の汁やかすがこぼれていたり、痛んだ食べ物が入っていたり、食品のニオイが混ざって悪臭になっていたりと、嫌なニオイの温床となっていることがあります。
このような場合も、コーヒーかすを入れておくだけでだいぶニオイの軽減ができます。また、コーヒーかすは口に入れても害のないものなので、食品と触れやすい冷蔵庫の中でも、安心して使用できるのが嬉しいポイントとなります。
魚焼きグリルの魚臭さ
魚焼きグリルで魚を焼くと、飛びはねたり落ちたり脂や、焦げ付いた皮のせいで、どうしても魚のニオイがこもってしまいます。そんなときは、コーヒーのかすを使って消臭しましょう。
先ほど作り方をご紹介した消臭剤をそのまま置いておくだけではなく、一度洗浄したグリルの受け皿にコーヒーかすを薄く広げ、2、3分加熱をして水分を飛ばす方法がおすすめです。
コーヒーかすの水分が飛ぶ過程で消臭効果をより発揮でき、しつこい魚臭さに効率よくアプローチできますよ。加熱後はコーヒーかすがしっかり冷めてから捨てるだけですので、後始末も簡単です。
電子レンジにこびりついたニオイ
電子レンジは食品を温めている過程で、油や汁気が飛んだり、強いニオイが庫内にこびりついてしまいます。定期的な換気や掃除と合わせて、コーヒーかすで消臭を行うのがおすすめです。
使い方は魚焼きグリルのときと似ていて、耐熱皿にコーヒーかすを広げたら、ラップなどをせずに1、2分加熱しましょう。終わったらコーヒーかすを取り出して、庫内に水滴がついているようなら拭き取って完了です。
車内の気になるニオイ
キレイにしているつもりの車内も、密閉空間のためニオイがこもりやすくなります。乗車していた人の体臭や、汗がシートに染みついていたり、エアコンから悪臭がしたり、食べ物を食べてしまっているなら臭くなる原因になっているでしょう。
ドアを開けた瞬間ニオイが鼻につくようなら、乾燥タイプのコーヒーかすを車内に置いておくのがおすすめです。
タバコのニオイ
タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、壁紙などに付着するとなかなか取ることができません。ニオイの付着を予防するために、灰皿に一工夫してみましょう。
乾燥したコーヒーかすを灰皿に敷き詰めておくだけで、タバコを吸いながらすぐに消臭することができます。後処理はタバコの灰と一緒に捨てるだけなので、手軽にタバコのニオイケアができますね。
コーヒーかすを消臭剤にするときの注意点
最後にコーヒーかすを消臭剤として使用するときの、注意点を確認しておきましょう。簡単に使用でき、特に害もないコーヒーかすですが、次の2点には気をつけてください。
乾燥していると消臭効果が低くなる
湿ったままの状態で使用する方法と、乾燥させて使用する2つの方法をご紹介しましたが、コーヒーかすの消臭効果を存分に発揮できるのは水分を含んだ状態のものです。
特に強いニオイを消したい場合は、湿ったコーヒーかすを使用することをおすすめします。
水分を含んでいるとカビの原因になる
水分を含んだコーヒーかすの方が消臭力は高いですが、そのまま放置していると白カビが発生してしまいます。
一見ホコリと見間違えてしまいそうなカビですが、食品などに発生する一般的なカビで、吸い込むとアレルギーを起こしたり壁などに付着すると建材を傷めることがあるので注意が必要です。
コーヒーかすを適度にかき混ぜることでカビを発生しにくくもできますが、定期的に捨てることを心掛けるようにしましょう。
コーヒーを飲んだ後のかすは、消臭剤にして再利用してみよう!
コーヒーの粉は多孔質な構造となっていて、ニオイをキャッチして離さない消臭に優れた性質であることが分かりました。
さらに酸性なのでアンモニアなどのアルカリ性のニオイを中和させる働きにも優れ、水分を含んだ状態だと活性炭の5倍もの消臭力があります。
コーヒーの抽出が終われば即ゴミ箱行きだったコーヒーかすも、このような効果があることが分かれば、再利用しないともったいないという気持ちになりますよね。自宅の嫌なニオイを消す消臭剤として、賢く活用してみてください。