コーヒー豆を購入した後、家ではどのように保存していますか?コーヒー豆は保存場所や容器によって豆の劣化速度は変わるので、保存期間に合わせた保存方法が必要です。今回はコーヒー豆の品質状態を守ることができる、正しい保存方法を確認してみましょう。
目次
コーヒー豆の劣化は保存状態で変わる
コーヒー豆の劣化と聞いても、あまりピンとこない方も多いかもしれません。コーヒー豆は乾燥しているので保存食のようなイメージですが、時間と共に、着実に劣化してしまう生鮮食品だということを念頭に置いておきましょう。食品なのです。
そして、その劣化が目に見えにくいということで、厄介な食品でもあります。コーヒー豆の鮮度をなるべく長く保つためには、可能な限りベストな状態のままベストな場所で保存する必要があるのです。
コーヒー豆が劣化するとどうなるの?
焙煎してあるコーヒー豆なら、基本的に腐ることはありません。食品が腐るのは細菌が付着して繁殖することが原因ですが、コーヒー豆は焙煎過程で長時間高温にさらされるので、菌の繁殖が起こりにくいのです。
しかし、腐らなくても劣化はしてしまいます。コーヒー豆にとって劣化は、コーヒーを淹れるときや味に大きく影響してしまいます。
抽出時の蒸らしで膨らみが弱くなる
コーヒー粉をドリップし蒸らすとき、しっかりと膨らむものほど鮮度が良い証です。焙煎時に発生した炭酸ガスがこの膨らみを生むため、焙煎した日が1番膨らみます。
しかし、蒸らしのときによく膨らむから、美味しいコーヒーが入れられるということではなく、あくまで鮮度を判断する基準だと思っておきましょう。コーヒー豆は焙煎したての場合、あまり味が馴染んでいないこともあり、理想は焙煎から3日程度といわれています。
酸っぱい味になる
劣化したコーヒー豆で淹れたものは、酸っぱさを強く感じます。コーヒーの種類によっては酸味が強いものもあり、酸味が好きだという方も多いと思いますが、その酸味とは異なります。舌がピリリと痺れるような、嫌な後味が残る独特な酸っぱさです。
コーヒー本来の味をもかき消してしまうほど強いので、劣化したコーヒー豆で淹れたものは、まずいと感じてしまうでしょう。
香りが消えてしまう
新鮮なコーヒー豆は、袋を開けた瞬間にコーヒー本来の香りが広がります。しかし劣化してしまったものは、香りが少なくなってしまいます。
コーヒーを淹れたときも香りがしなくなり、風味が半減してしまうのです。
コーヒー豆の劣化の原因は4つ
それではどうしてコーヒー豆が劣化してしまうのか、その原因について詳しく見てみましょう。
温度
コーヒー豆は高温に弱い食品です。温度が高くなると化学反応を起こし、劣化を早めてしまうのです。
逆に低温では劣化の速度を遅くすることができます。目安としては、15℃程度が保てる場所での保存が理想的で、20℃を超えるような場所は避けるようにしましょう。
空気
コーヒーの劣化の原因のひとつに、酸化があります。コーヒー豆に含まれているオイルは、空気に触れていると酸化が早まり、酸っぱい味になってしまうのです。これを“ステイン”とも呼びます。
密閉性が低い紙袋や缶などで保存するとよく起こるので、保存容器の選び方も重要になるでしょう。
水分
コーヒー豆は水分に弱く、そのため湿度の高い場所での保管は向いていません。焙煎後のコーヒー豆は、小さな穴が無数に空いた多孔質状態となっているため、水分を吸収しやすい状態になっています。
水分を吸収してしまうと劣化スピードが上がるため、梅雨の時期などの保存には注意を払わなければいけません。
紫外線
コーヒー豆は紫外線を浴びると、劣化速度を上げてしまいます。直射日光はもちろん、蛍光灯からも微量の紫外線が出ているので、なるべくライトの下での保存も避けるのが無難です。
また、光が当たっているとその分温度も上がり、ダブルで劣化を早めるおそれがあるため、暗い場所で保存するようにしましょう。
保存期間ごとのコーヒー豆の正しい保存方法
それでは実際にコーヒー豆を保存するとき、おすすめの容器や場所を確認してみましょう。重要なのは、どれくらいの期間保存する予定なのかということなので、期間ごとにおすすめの組み合わせもご紹介します。
コーヒー豆の保存容器の種類
フリーザーバッグ
チャックがついて密閉性の高い袋のため、使い勝手が良いです。しかし透明なものが多く光の影響を受けやすいので、短期間での保存に向いています。冷蔵や冷凍をするときには活躍するので、時と場合によって使い分けましょう。
アルミ製の袋
常温で保存し、なおかつ短期間で使い切る予定ならアルミ製の袋がおすすめです。小さく折りたたみやすく、ある程度の密閉が期待できるのが利点です。また、光も遮断するため、数日なら十分コーヒー豆の鮮度を保つことができます。
缶・ボトル
缶やボトルは見た目がおしゃれなこともあり、人気の保存容器です。しかし袋と同じように短期間での保存に向いた容器ですので、注意しましょう。
ガラスやセラミック、ホーローなどですと、容器の劣化でコーヒー豆に影響を与えることがないのでおすすめです。
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真空保存容器
コーヒー豆を数日では使い切れないという場合は、より密閉性の高い空気吸引機能のある容器を選んでみましょう。
手動吸引のものもあれば、自動で吸引できるものもあり、鮮度を保ちながら菌の増殖も押さえてくれます。多少値が張るものが多いですが、コーヒーの鮮度にこだわりたい方には真空保存容器が1番最適です。
コーヒー豆を保存する場所の種類
暗く涼しい場所で常温保存
コーヒー豆が苦手とする、高温、空気、水分、紫外線が防げる場所なら、基本的には常温保存してもかまいません。直射日光が当たらないキッチンの隅や、棚の中などなるべく湿度が低いところを選んでください。
冷蔵庫
低い温度を均一に保てる場所として、冷蔵庫が挙げられます。
コーヒー豆も冷蔵庫で保存すれば、その分劣化を遅らせることができますが、気をつけたいのは吸湿性が高く、香りも吸収してしまうため、しっかりと密閉しないと質を落としてしまうことがあることです。
コーヒー豆を冷蔵庫に入れる場合は、外気に触れない密閉性が高い容器を選び、温度差で起こる結露などにも注意して保存する必要があります。
冷凍庫
冷凍庫で保存するとコーヒー豆が凍ってしまうのではないか、という心配があるかもしれませんが、水分の含有率が1%程度のため凍ることはありません。しかも、冷凍庫は冷蔵庫より空気の循環がゆっくりなため、臭い移りがしにくいというメリットもあります。
長期保存する場合は、冷蔵庫よりさらに温度が低い冷凍庫がおすすめです。
焙煎後1週間程度の保存はそのまま常温でもOK
焙煎後1週間以内に使い切るなら、暗く涼しい場所での常温保存で良いでしょう。購入したときにアルミの袋に入っているならその袋のままでも良いですし、お気に入りのボトルや缶に詰め替えしてもOKです。
1週間程度ならそこまで密閉にこだわらなくても鮮度は落ちませんので、紫外線と湿度に気をつけて保存してください。
焙煎後2週間の保存は密閉して冷蔵がおすすめ
焙煎後2週間程度保存するなら、密閉性の高い袋や容器に入れて、冷蔵庫で保管しましょう。冷蔵庫の温度なら、コーヒー豆の鮮度を落さずに2週間は保存できます。
しかし冷蔵庫は開け閉めが多く、コーヒー豆が結露してしまうこともあるので、温度差には十分注意してください。また、コーヒー豆の香りを損なわないよう臭いのきついものの傍に置いたりせず、冷蔵庫の消臭にも気を遣ってください。
焙煎後1ヶ月の保存は密閉して冷凍しておく
保存期間が1カ月程度になるようなら、冷凍庫で保存するようにしましょう。
また、真空容器を使用することで、より鮮度を保つことができます。2週間を超える保存の場合、冷蔵庫では鮮度を保ちきれないので、保存場所を冷凍庫に切り替えるようにしてください。
豆と粉では劣化スピードが異なるので注意
コーヒー豆の保存期間に合わせて、保存場所や容器を変えますが、挽いて粉状にした場合はまったく条件が異なるので注意が必要です。豆と比べると粉は表面積が多くなるため、空気に触れやすくなり劣化のスピードがぐんと速まります。
粉状にしたらその日のうちに飲むのがベストですが、5日程度なら常温保存でもそこまで劣化を感じないでしょう。それ以上保存する場合は、豆と同じようにしっかりと密閉して、冷蔵や冷凍で保存するようにしましょう。
ただし、豆よりも早く劣化し風味がどんどん悪くなるので、可能な限り早く消費してください。
コーヒー豆の賞味期限は?
コーヒー豆は1ヶ月以内を目安に使い切るのがおすすめ
焙煎されたコーヒー豆を購入したら、常温なら1週間以内、冷凍でも1ヶ月以内に使い切ることで、劣化を感じることなく使用することができるでしょう。
最初に説明した通り、腐敗してしまうという可能性はあまりないため、3ヶ月経った豆でも飲むことはできますが、コーヒー好きの方なら風味が劇的に悪くなったことを感じるはずですのでおすすめはしません。
さらに粉にしたものは1週間~3週間が限度といわれているので、美味しいコーヒーを長く飲みたいなら、ミルの購入を検討して、自宅で豆を挽くのがおすすめです。
コーヒー豆の鮮度の確認方法は?
いつ焙煎したコーヒー豆なのかが不明な場合や、購入した日を忘れてしまったときなどのために、鮮度を確認する方法が知りたいですよね。
しかし、見た目では見分けがつかないのが現状です。色は焙煎度合いによって異なりますし、劣化したからと言って形状が大きく変化することはありません。
ひとまずコーヒー豆の香りをかいでみて、無臭の場合は劣化が進んでいる可能性が高いでしょう。さらに詳しく調べるには、実際にドリップしてみるのがおすすめです。
鮮度が高いと蒸らしのときにしっかりと膨らむので、ふくらみが弱い場合は劣化している恐れがあります。最後に実際に飲んでみて、「味が変わってしまった」、「美味しくない」と感じるようなら、処分することをおすすめします。
コーヒー豆は正しい保存方法で鮮度を保とう!
コーヒー豆は見た目の変化がないため、劣化をしていないように感じますが、実は繊細な生鮮食品です。保存期間に合わせて、容器や保存場所を選ばなければいけないことが分かりましたね。
なるべく長い間美味しいコーヒーを飲みたいなら、密閉できる容器を用意し、冷蔵庫や冷凍庫もうまく使いながら保存してみましょう。そして、1ヶ月を目安に使い切れる量を購入すれば、コーヒー豆を劣化させることなく飲むことができますよ。